セッション(1日目)
①健康学習ベーシック
テーマ |
健康学習ベーシック |
コーディネーター |
野村悠(聖マリアンナ医科大学) |
サブコーディネーター |
中山進(奈良県立五條病院) |
サポーター |
健康学習の仲間たち |
内容 |
健康学習を知ったけど、石川雄一先生みたいにはできないからと諦めているあなた、、、 |
レポート |
当セッションは、健康学習を知ったけど「石川雄一先生みたいにはできないから」と自信を持てなかったあなたに、健康学習の基本を紹介し自分スタイルのコミュニケーションが見つかるきっかけとなれる内容をめざした。 〔導入〕 健康学習との「出会い」を振り返る 自分にとっての健康学習とは何か 野村は学生時代に健康学習と出会い、そのコミュニケーション技法に魅了された。医師となった今、その発想や手法が大いに生かされていることを紹介。みなさん自身と健康学習との出会いやその位置づけを確認した。 〔本題〕 健康学習の基本概念とは ・健康に対する「発想」の転換 健康のゴールは「豊かな人生」であり、健康を多軸・多面的に捉える必要がある ・行動科学に基づくコミュニケーション技術 主体である参加者の本音を引き出し、気づきを引き起こすための技術が必要である 「元気と病気の調和」 「元気と病気の二軸の関係」 健康学習と出会い、病気がマイナスだけでなくプラス要因としても働くという発想の転換に共感し、自身も前向きな生き方ができるようになった経験を紹介。 健康とは元気と病気の調和であり、元気軸と病気軸の両軸にアプローチして人間全体をトータルに捉えることが重要という、健康学習の根幹をなす概念を説明した。 「発想を拡大するためのアプローチ」POS、WOS、GOS ある会社員の無断欠勤への周囲の対応を紹介。欠勤を問いただすだけでなく、本人が仕事にどのような夢を抱いていたのか確認したところ、本人も周囲もその目標に向かうことで円滑に人間関係が回り始めた。 ここでは発想を拡大するためのアプローチを説明した。相手や状況により以下をバランスよく組み合わせて使うとよい。 〈POS〉問題解決型思考:悪い点を見つけて減らそうとするアプローチ 〈WOS〉よいところ発見型思考:良い点をみつけて活かそうとするアプローチ 〈GOS〉目標設定型思考:目標を見つけて達成を目指すアプローチ 「3つの論理」 透析導入が差し迫ったある高齢女性を紹介。医学的には塩分制限や血圧管理が必要だが、制限なく自由に生活したい本人、できるだけ長生きして欲しいと願う家族、各々の立場で想いが異なることを示した。 話題となるテーマや事象に対するとらえ方は立場により異なる。相手の立場ならどう思うか想像し多面的に物事を捉えるアプローチ「3つの論理」を説明。①医療の論理、②本人の論理、③周囲(社会・家族)の論理、の3つの論理で物事を捉える。 続いて、行動科学に基づくコミュニケーション技術の紹介と実践を行った。 思いを大事にする尋ね上手(引き出し上手):「尋ね方の6つのポイント」 相手の心の奥底に眠る「思い」を引き出すためには適切な質問をする技術が必要であり、6つのポイントがある。 「目標設定」を聞く 「将来予測」をしてもらう 「周囲の評価」を聞く 「プラス面」を確認する 「バランス」を聞く 「今の自分が好きか」どうかを聞く 言葉を受け取ったら相手に返す(返し上手):「返し方の4つのパターン」 相手の言葉を「回答者の役割+相手の気持ちを整理する役割 をもって相手に返す。共感は相手の心を開きやすくする。整理することで相手が自ら解決策を導きやすくする。特に内容でなく「想いの整理」により自身の心底にある想いに気づくことができる。 技術の説明前後で、参加者同志で悩みを相談し合い、技術を試して頂いた。 〔まとめ〕 前半は、健康学習の思想の根幹をなす「元気と病気の二軸の関係」、「POS/WOS/GOS」 、「3つの論理」 について説明した。 後半はコミュニケーション技術である、尋ね上手「6つのポイント」、返し上手「4つのパターン」を示し実践して頂いた。 スタッフとしては大変光栄なテーマを頂き非常にやりがいのあるセッションであった。内容が多く駆け足で進んだためみなさんにうまく伝わったか気がかりであるが、グループワークは楽しく進みご満足頂けものと自負している。最後に、見守って頂いた学会事務局と当セッションを選んで頂いた参加者の方々に深謝致します。 なお、コーディネーター着用のTシャツは当セッションオリジナルのものであり、販売等は現時点で予定されておりません(笑)。 |